東京の副知事になってみたら

東京の副知事になってみたら (小学館101新書)

東京の副知事になってみたら (小学館101新書)

ツイッターでフォローしていて気になったので、せっかくなら選挙前のこの時期に読んでおこうと思った。
東京ほどになると国に近い規模の業務があるんだろうが、猪瀬さんは普通の感覚と、優れた力で官僚を使いこなしていると思った。ここに書かれているような実行力が政治主導というものだろう。民主党が言う政治主導はただの人気取りにしか思えない、まったく違うものだ。
政治主導はやっぱり必要だと思うのは、長く都庁で働き続けてきた人の感覚は、組織(役人)の価値観に染まっていて疑う力が落ちているからだと感じた。一人ひとりの仕事を行う能力は素晴らしいようなのだけれども、そもそもその仕事は何のためにやっているのか、そして何が最重要なのかということを見直すところが抜け落ちて、いわゆる庶民感覚とはずれてしまう様だ。だから、そとからかき回す人が必要なのだろう。

もう一つ最近力が入っているのが言語力の強化。さすがに作家だけあってこの点に関する危機感は大きいようだ。数年前から言語力については注目していて、自分も内容的には道徳に過ぎない国語よりも、きちんと日本語の技能を学校で教えるようになって欲しいと考えていたが、最近ここに注目が集まっているのはいいことだと思う。
猪瀬さんには次はこの点を一歩も二歩も前進させてもらいたい。都内には国語とは別に「日本語」の授業をおこなっている学校もあると聞いているので、それを学校単位ではなく東京全体の取り組み、そして国の指導要綱にまで広げてもらいたい。

本の内容に関しては、ツイッターでしゃべりすぎというか、「あっ、これどこかで読んで知っているな」という状態になってしまったのがちょっと残念だった。