子育てのゆくえ

子育てのゆくえ―子育てをしないアメリカが予見する日本の未来

子育てのゆくえ―子育てをしないアメリカが予見する日本の未来

妻が講演会でとってもいいお話を聞いてきた。でもうまく説明できないから自分で本を読んでと言われたので集中的に読書中。
アメリカに暮らして、その壊れた社会を体感した著者が、なんでも欧米を追いかける日本の社会に警鐘をならすお話。
著者は先進国の中では特異な非論理性の多く存在する日本社会に最後の望みをかけているという感じです。
自分も仕事でアメリカ人、アメリカ社会の考え方と付き合ってきて、アメリカの社会は駄目だ、日本の方が優れた点がたくさんあると感じているので、その点で著者の言っていることがよくわかるような気がします。たとえば国際化を声高に言う人に対する以下の文章には、まったくの同感です。

日本で最近文章や会話の中で使われている「国際人」という言葉は、私が知るかぎり「西洋人」を意味し、「国際化」は「西洋化」を意味する。よーく考えてほしい。日本人が国際人という言葉から通常抱くイメージにはインド人の商人や架橋は含まれない。
日本人が国際化という言葉を使う場合、そのほとんどが教育に関連して何かをセールスする場合(いちばん目立つのが英語学校)、マスコミが日本人を了見が狭いといって批判する場合、政府が政治的に使う場合、親が子供をもてあまして留学させる場合のどれかに属している。
アメリカ人には、日本人が使っているような意味で「国際化」する意思はまったくないし、「交際人」などという定義にいたってはほとんどその意味すら理解できないだろう。

なんでもかんでもアメリカは進んでいる、アメリカを見習おうとしている人はきちんと調べて、感じて、自分の頭で考えてもらいたいと思います。確かに自分の頭で考えるのをやめて、誰かについていくだけというのは楽ですけどね。

著者の考えがまとまっていると思う文章を最後に引用します。

簡単に言えば、日本は世界の中で抜群の生活大国であり、私の使っている物差しで計れば、先進国の中でも最も住みやすい、子育てをしやすい国なのだということ。しかし、それを「生活大国」や「国際化」という言葉を使って自ら西洋化させ住みにくい国にしようとしているのだから、ややこしい。先進国の「先進」は確かに先に進むと書くけれど、生活習慣や子育てに関しては、そろそろ進むことをやめないと引き返せなくなる。
(四章 子育てとマスコミ)