亡国の中学受験〜公立不信ビジネスの実態〜

亡国の中学受験 (光文社新書)

亡国の中学受験 (光文社新書)

中学受験産業の裏側を見た著者によるダークサイドの告発本。第2弾。なのかな?
著者はかつて塾講師や家庭教師会社に所属していて、その酷さに見切りをつけて現在は個人で活動しているというお茶の水女子大の院生。世には耳障りのいい情報ばかりが溢れていて悪い情報がでることがないので、バランスを取るために悪い情報を取り上げたという。

感想を言うと、そういうこともあるかもしれないけど極一部の事例を取り出して全否定するほどのことじゃないんじゃないのっていう感じ。

公立不信は上位の私立校と下位の公立校を比較して強調された、受験産業によるイメージだというところから始まる。そして私立でも下位ではこんな酷いことが行われているんですよ告発する。いちいち指摘する気がうせるくらいの突っ込みどころ満載。

その情報源が自分の教え子とその親で、その数はおそらく50世帯程度ではないかと思われる(数えてみようかとも思ったけれどやめた)。引用しているのは新書が大部分で論文なりニュースリリースから考察はない。告発するにしても全て伏字。これじゃママ友の噂話と同じ程度の説得力しかないわけです。

滑り止め受験した優秀な子を特待生として将来の進学実績として広告塔になってもらうために囲い込もうとするとか、単願推薦で入学者数を確保するなんてことは何十年も前の高校受験でだってやっていたことで、たぶん親世代の多くの人は知っているんじゃあなかろうか。そんな事を受験産業の陰謀のように指摘している著者の若さが目立つ内容。

笑い話のネタとしてブログで読むくらいの話であって、真剣に受け取る必要はないでしょう。売れたからって続編を作ってしまった出版社には呆れてしまうところ。

ちなみに第一弾はこちら。笑い話としてはよくできています。

中学受験の失敗学 (光文社新書)

中学受験の失敗学 (光文社新書)

過去の日記にないみたいなので、そのうち突込みを入れようとしていたのに忘れてしまったのでしょう。こんな人には家庭教師なんてしないでもらいたいというようなエピソードがあったんですが詳細は忘れました。

最後に一言。悪い噂なんて今はネット上でいくらでも読むことができます。だれかにコントロールされていて都合のいい話しか出てこないなんていつの時代の話なんでしょうか?前提からしてこんななんですから、どのような読み方をすればいいのかがわかるでしょう。