自分の頭と身体で考える
- 作者: 養老孟司,甲野善紀
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2002/02
- メディア: 文庫
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「ほ〜」と感心したり、「あ〜、そうそう」と共感したりしながら楽しく読めました。
この言葉は本書のタイトルを表しているところかな。
自分で考えて自分の言葉で話す人って、当たり前みたいだけれど、実際に世間の中を見るとほとんどいないですよね。だから「ともあろうものが」という言い方をするんです。「ともあろうものが」ということは逆に言えば、ある立場である位置にある人が言うことも、することも決まっているということです。
言葉の重要性に関してはお二人ともいいことを言っている。
僕が外国に行って一番印象的だったのは、言語が世界を規定しているという感覚でしたね。だから論文を英語で書いて、どうも上手に言えないんだけどって、向こうの若いやつに言ったときに言下に言われたのは「英語で言えないことはない」なんです。英語で言えないことはないっていう意味は「どんなことでも言葉になる」という意味じゃなく「言葉にならないことは伝える意味がない」ということなんです。言葉にならないことであれば、他人に言えないんだから、それはないと同じだろっていうことなんです。そういう信念が日本人にはないということははっきりしています。
(養老)
他人に伝えられないことはないも同じだっているのは、これは日本人にはとても理解できないことですね。つまり重要なことというのは、文字や言葉に言い表せないというのが、日本の文化の特色のように言われていますから。
(甲野)
だから言語技術の教育に力が向かわないんだろう。これこそガラパゴス文化。携帯のシステムなんかよりもっと大事なガラパゴス領域です。最近は少しずつ言語技術の重要性が取り上げられるようになってきたけど、まだまだこれからですよね。みんなが自分の頭と身体で考えるようにならないと、なかなか変わらないでしょうけど。気づいた人から改善することが重要です。