キャンプに連れて行く親は、子供を伸ばす!

キャンプに連れて行く親は 子どもを伸ばす!

キャンプに連れて行く親は 子どもを伸ばす!

おお、当に自分のことではないか。読まないわけにいかないというわけで早速入手。
帯には慶応義塾幼稚舎長の推薦とある。
内容は大きく二つに分かれる。一つ目はキャンプ(というか自然の中での体験)が子供の成長に与えるさまざまな影響。もちろんポジティブなもので、こちらがこの本のメインでしょう。もう一つが、それじゃあキャンプに行ってみようかという思った親に向けてのキャンプ入門書。
キャンプに行って時間に追われて行動するのではなく自然のリズムと自分の興味に任せて活動することで親子共々ストレスも解消し、「賢い身体」と「強い頭(精神)」を得ることができるようにしましょうというのが趣旨。そのことは賛同できるし、現代社会に対する著者の次のような見方も同感。同じように感じている人がいるんだと親しみを覚えました。

交通機関や通信機器の急速な発達で、世界は狭くなり、インターネットや携帯電話を持っていれば、二十四時間、どこにいてもリアルタイムの情報を得ることができます。
こうした技術の発達によって生活が格段に便利になったのは事実でしょうが、そのスピードの速さは人間がモノを支配しているのではなく、まるでモノが人間を支配している感さえあります。人間が本来持っている「生理」のスピードを超えている気がするのです。

それをリセットして本来のペースを取り戻すにはアウトドアがベストというわけです。
著者はさまざまな活動で、ひ弱で気弱な覇気のない子どもが野外活動の中での何らかのきっかけを通して大きく変わるケースに数多く関わってきたようです。本書にはいくつかの事例が出ていますがもっともっとそういう話を聞きたかったような気がします。
残念ながら例はあまり多くあげられないままに、お父さんのためのキャンプ講座に移ります。このパートは内容は正確ではあるのですがHow-To本としては使いづらくこの本のポイントを下げています。見出しを細かく入れてあれば参照しやすいのですが、詳しい人がダラダラとアドバイスを話し続けているような体裁なので、後で読み返して参照しようとしてもポイントを見つけるのは大変そうです。キャンプに行こうと思った人は別途入門書を用意することをお勧めします。
そんなわけで、メインのパートは弱く、入門書としても使いづらい残念な一冊になってしまいました。How-Toは別に譲って、子どものアウトドア体験の話しに絞ってくれればもっと良かったのにな。無理やり単行本の分量に膨らませたからこうなっちゃったのかな?なんて考えてしまいました。